こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!
資料Ⅰを読んで、資料Ⅱへ進み、設問を見てからまた資料Ⅰへ戻る。ようやく選択肢を比べ始めたのに、何を確かめようとしていたのかわからなくなる。共通テスト国語の第3問で、このような読み方になっていないでしょうか。
資料の間を行き来すること自体は、必要な作業です。整理したいのは、**「何を確かめるために、どこへ戻るのか」**です。
この記事では、設問の要求と資料の役割をつなぐ読み方を、短い架空の練習例で説明します。過去問を一問だけ復習するときにも使える方法です。
第3問では、資料の内容と文章の目的をつなぐ
2026年度(令和8年度)本試験の第3問では、絵本の工夫について考える生徒の下書きと、関連する資料が示されました。資料を踏まえた表現の修正、段落の趣旨に合わない箇所の削除、資料間の比較などが扱われています。
大学入試センターの問題作成部会も、複数資料の比較と、下書きの表現や構成の見直しを含む学習過程を出題意図として説明しています。出典:令和8年度本試験の問題・国語、問題評価・分析委員会報告書・国語の自己評価
このため、資料に出てきた言葉を見つけたところで判断を止めず、「その情報を、いま何のために使うのか」まで確かめる練習が役立ちます。内容として正しい文でも、修正する段落の目的に合わないことがあるからです。
以下の方法は、設問と根拠を結びつけるための練習案です。年度によって資料の種類や問い方は変わるため、特定の形式が次も出ると決めて準備するものではありません。
読む前に、資料の役割を短くつかむ
冒頭の場面設定から「誰が何をしようとしているか」を押さえる
まず、大問冒頭の説明を読みます。生徒が発表の準備をしているのか、文章を書き直しているのか、二つの資料を比較しているのか。ここが曖昧なままだと、個々の情報の使い道を見失いやすくなります。
例えば、後で紹介する練習例では、生徒が読書会の案内文を直しています。読む相手は、初めて参加する生徒です。この場面がわかれば、「参加者の誤解を解くために、案内へ何を補うか」という問いとして考えられます。
ただし、冒頭だけで各設問の要求まで決まるわけではありません。大問全体の目的を押さえたうえで、小問ごとの指示を読みます。
見出しから、どこに何があるかを把握する
資料の見出しや冒頭に目を通し、それぞれの役割を短い言葉でつかみます。例えば「開催要項」「前回の運営メモ」「案内の下書き」という区別です。
これは全文を要約する作業ではありません。余白に書くとしても、「条件」「参加者の声」など、戻る場所がわかる程度で十分です。すでに区別できるなら、書き込む必要はありません。
役割の把握だけで内容理解が済むわけでもありません。実際に根拠として使うときは、該当箇所とその前後を読み、誰について、どの条件で述べているのかを確認します。
設問を読んだら、「戻る場所」と「確かめること」を決める
求められた作業を、短く言い換える
設問を読んだら、「表現を直す」「段落に合わない箇所を探す」「二つの資料を比べる」など、求められている作業を押さえます。
その際、「最も適当なもの」なのか「誤りを含むもの」なのか、いくつ選ぶのか、どの資料を使うのかも確認してください。選択肢を読みながら、この条件が入れ替わらないようにします。
長いメモは不要です。「資料Ⅰ・Ⅱ/誤解を解く一文」のように、使う資料と目的を短く残すだけでも、読み直す理由を保ちやすくなります。
資料名に加え、段落や前後の文も確認する
戻る場所は、設問によって変わります。次の表は、その考え方の例です。
| 設問の例 |
戻る場所 |
確かめること |
| 表現を直す |
指定資料+下書き |
事実と文脈 |
| 段落に合わない箇所を探す |
その段落+前後 |
段落の役割 |
| 二つの資料を比べる |
指定された二資料 |
同じ観点での違い |
表現を直すなら、資料に合う内容かを確かめるとともに、直した文が下書きの前後とつながるかも見ます。段落の趣旨が問われたら、下線部だけでなく、その段落が何を説明しているかを確認します。
比較では、同じ観点をそろえます。例えば「誰に向けて書いているか」を比べるなら、両方の資料から読み手に関する情報を探します。一方の読み手と、他方の文章の長さを並べるだけでは、同じ観点での比較になりません。
設問の指示を優先。必要なら他の資料にも戻る。 表の場所だけに読む範囲を固定しないことも大切です。
戻る場所の例。設問の指示を優先し、必要なら他の資料にも戻ります。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。
架空の練習例で、資料と設問をつないでみる
ここからの場面・資料・設問・選択肢は、読み方を説明するために作成した架空の例です。実際の共通テストの問題ではなく、本試験の分量や難易度を再現したものでもありません。
場面と資料
生徒のNさんは、初めて参加する生徒に向けて、読書会の案内文を直しています。
資料Ⅰ:開催要項
読書会は金曜日の放課後に図書室で行う。参加者は、持参した本、または主催者が用意した本を使って紹介できる。用意された本を借りることも、他の参加者による紹介を聞くだけで参加することもできる。
資料Ⅱ:前回の運営メモ
前回の案内には「好きな本について話そう」と書いた。参加を見送った生徒の中には、「紹介する本を持っていかなければならないと思った」と話した人がいた。
案内文の下書き
金曜日の放課後、図書室で読書会を開きます。【空欄】初めての方もどうぞ。
設問
資料Ⅰ・Ⅱを踏まえ、本の持参についての誤解を解くために、空欄へ補う一文として最も適当なものを、次のA〜Dから一つ選びなさい。
A. 本の紹介は行わず、全員が聞き手として参加します。
B. 本を持っていなくても、用意された本を借りたり、紹介を聞いたりして参加できます。
C. 前回は、本を持っていない生徒は一人も参加しませんでした。
D. 金曜日の放課後に図書室で行います。
それぞれの資料へ、違うことを確かめに戻る
この設問で必要なのは、本を持参しなければ参加できないという誤解を解く一文です。
資料Ⅱでは、どのような誤解があったのかを確認します。「紹介する本の持参が必要だと思った人がいた」とわかります。ただし、その人数や、参加を見送った全員の理由までは書かれていません。
資料Ⅰでは、実際にはどのように参加できるのかを確認します。本を借りられることと、紹介を聞くだけでも参加できることが示されています。
そして、下書きへ戻ります。空欄は開催日時と場所の後、「初めての方もどうぞ」の前です。ここに参加方法を補えば、設問で求められた誤解を解きながら、前後の文をつなげられます。
このように、資料Ⅰは参加条件の確認、資料Ⅱは誤解の確認、下書きは入れる文のつながりの確認に使います。同じ文章を漫然と読み直すのではなく、確かめたいことを持って戻ります。
「資料に合うか」と「設問の目的に合うか」を確かめる
この練習例では、Bが最も適当です。他の選択肢も、どこが違うかを言葉にしてみましょう。
| 選択肢 |
確認できること |
| A |
資料Ⅰでは本を紹介する参加方法も認められており、「全員が聞き手」とは合わない。 |
| B |
資料Ⅰの参加方法に合い、資料Ⅱにある本の持参についての誤解を解ける。 |
| C |
資料Ⅱから、前回の参加者全員が本を持っていたとは判断できない。 |
| D |
資料Ⅰに合う内容だが、本の持参についての誤解を解く一文にはならない。下書きの内容とも重複する。 |
Dのように、資料中の事実をそのまま述べた選択肢でも、設問の目的に合わない場合があります。一方、Bは資料と一字一句同じではありませんが、資料が示す参加方法を、案内を読む相手に伝わる形で言い換えています。
これは誤答のすべてを分類した表ではありません。実際の問題でも、選択肢を資料に照らすだけで判断がつかないときは、「いま求められている作業に合うか」まで戻って確認してください。
架空の練習例。資料ごとに確かめることを分け、設問の目的に合う一文へつなぎます。
画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。
読み直しても迷うときは、止まった場所を分けて確かめる
資料へ何度も戻る原因が、いつも同じとは限りません。直近で迷った一問について、次のどこで止まったかを振り返ってみてください。
- 資料の内容はわかるが、どこに書かれていたか見つからない。
- 該当箇所は見つかるが、文の意味や指示語がわからない。
- 個々の資料は読めるが、何を比べるか決まらない。
- 根拠は見つかるが、選択肢の違いを説明できない。
最初の場合は、見出しと役割を押さえる練習が役立ちます。二つ目なら、探す速さを上げる前に、該当する文の主語・述語や前後関係を確かめたいところです。比較で止まるなら、設問から比較の観点を取り出せているかを確認します。
選択肢で迷う場合は、異なる部分を抜き出し、それぞれが資料のどこから言えるかを説明してみましょう。最初に二つまで絞った判断が正しいとは限らないため、必要なら消した選択肢も見直します。
複数のつまずきが重なることもあります。「資料問題が苦手」と一括りにせず、今回の一問で説明できない箇所を残すことが、次の練習を決める手がかりになります。
家庭学習は、一問の「戻った理由」を残すところから
復習では、根拠を一行ずつ記録する
まずは手元の過去問や模試から、小問を一つ選びます。次の三点を短く残してください。
- 何をする設問か。
- どの資料の、どの箇所を使ったか。
- その箇所が、選ぶ理由や選ばない理由にどうつながるか。
練習例なら、「持参についての誤解を解く/資料Ⅱの参加を見送った生徒の発言+資料Ⅰの参加方法/借りる・聞くだけという方法を伝えれば、持参が必須という誤解に対応できる」となります。
解説を読んだ後は、正解番号だけでなく、自分が使った根拠と解説の根拠を比べます。同じ箇所を読んでいたのに違う答えを選んだなら、その箇所からどこまで言えると考えたかを見直しましょう。
負担が大きければ、「迷った選択肢の違う部分」と「確かめた資料の箇所」だけでも構いません。毎回きれいなまとめを作る必要はありません。
初めて解く別の問題で、同じ操作を試す
答えを覚えた問題の解き直しでは、読む場所を思い出せても、自分で見つけられるようになったかは判断しにくくなります。
そこで、別の未見問題でも、設問の要求を押さえ、必要な資料へ戻り、選択肢を根拠と照合できるかを確認します。記事の練習例だけで終えず、実際の過去問など、複数資料を扱う問題へ移して試してください。
時間不足があった場合は、解答・解説を見る前に、時間を延ばして再挑戦する方法もあります。それで解けたかどうかは手がかりになりますが、時間だけが原因だったと断定はできません。どの作業で迷ったかも併せて残します。
第3問にかける時間は、国語全体の演習の中で調整します。この読み方なら必ず何分で終わる、と固定せず、正確さと所要時間の両方を見てください。
根拠のつなぎ方がわからないときは、考えた跡を相談材料にする
解説を読むと納得できるのに、別の問題では同じように考えられない。そのときは、正解が書かれた答案だけでなく、最初に選んだ答えと、根拠だと思った箇所を残しておくと、つまずきを確かめやすくなります。
相談するときは、問題冊子、最初の答案、迷った選択肢、解説、解き直しのメモを用意しましょう。時間切れがあれば、どこまで取り組んだかも伝えてください。すべてを清書せず、書き込みのある状態で構いません。
東京・代々木の国語専門塾・国語ゼミでは、大学受験の国語を1対1の完全個別指導で扱い、根拠と判断のつながりを生徒自身の言葉で説明することを重視しています。設問の読み取り、資料の理解、選択肢の比較のうち、どの練習から始めるかを相談できます。
次に第3問を復習するときは、資料へ戻る前に「何を確かめに戻るのか」を短く言葉にしてみてください。まずは一問で、設問・根拠・選択肢のつながりを自分で説明できるかを確かめましょう。