こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!
接続語には印をつけている。大切そうな文に線も引いている。それでも「筆者が最も伝えたいこと」を聞かれると、具体例の説明を書いたり、「しかし」の直後をそのまま写したりしてしまう。
お子さんの説明文の答案を見て、そんなもどかしさを感じることはないでしょうか。
「しかし」の後には、前の内容と対比される考えや事実が置かれます。読むうえで大切な手がかりですが、その一文が文章全体の主張だとは限りません。具体例の中の対比や、紹介された他者の意見の一部である場合もあります。
確かめたいのは、印をつけた文が、文章の中で何をしているかです。筆者の判断なのか、その理由なのか、考えをわかりやすくする具体例なのか。文や段落の役割をつないで読むことで、目立つ一文を見つけた先へ進めます。
この記事では、説明文・論説文に苦手意識がある小学5年生の保護者の方に向けて、自作の短文と、一問から取り組める復習方法を紹介します。
接続語は、前後の関係を示す手がかり
「しかし」を見つけたら、まず前後の何が対比されているのかを確かめます。
たとえば、「朝は雨が降っていた。しかし、昼には晴れた」なら、朝と昼の天気の違いを述べています。「しかし」があるだけで、この文が文章全体の結論になるわけではありません。
「つまり」なら、何を言い換えたりまとめたりしているのか。「たとえば」なら、何を具体的に説明しようとしているのかを読みます。接続語に印をつけることは、その関係を確かめる入口です。
関係を考えるときは、直前と直後の一文だけで足りるとは限りません。前の段落全体を受けて話を転じている場合もあります。「何に対して、しかしなのか」を、本文の言葉で説明できる範囲まで戻ってみます。
もしお子さんが「大事だから線を引いた」と言ったら、すぐに印を増やすよう勧めるのではなく、「この前には何が書いてあって、ここで何が変わった?」と聞いてみてください。印の数よりも、印をつけた後の読み方を確かめるためです。
主張・理由・具体例を、役割で分けて読む
ここでいう主張は、ある話題について筆者が伝えようとする中心的な考えや判断です。理由は、その考えがなぜ成り立つのかを支える説明。具体例は、考えを身近な事柄に置き換えたり、実際の様子を示したりする部分です。
ただし、三つを別々の箱に入れれば終わりではありません。具体例が主張の根拠にもなるなど、役割が重なることもあります。分類名を当てることより、どの説明がどの考えにつながるのかを捉えることが大切です。
具体例は、何を説明するために置かれているか
身近な出来事や人物が出てくる具体例は、内容を思い浮かべやすい部分です。そのため、そこを詳しく覚えていても、筆者の考えまで説明できているとは限りません。
読む際には、「この例で、何をわかってほしいのだろう」と前後を確かめます。ある場所の話や一人の行動から、筆者がどのような考えを導いているのかを探します。
主張を問う設問で具体例だけを答えてしまう場合も、例の内容そのものは正しく読めていることがあります。正しく理解できた部分を残しながら、その例と結びつく説明を読み足していきます。
他者の意見と、筆者自身の判断を区別する
本文に書かれた意見が、すべて筆者の意見とは限りません。「〜と考える人もいる」「一般には〜と言われる」などの表現があれば、別の立場を紹介している可能性があります。
その後、筆者はその考えを認めているのか、問題点を指摘しているのか、一部を認めながら条件を加えているのかを確かめます。引用された意見の中に「しかし」があっても、それだけで筆者自身の主張とは決められません。
なお、説明文には、仕組みや事実を説明することが中心の文章もあります。すべての文章から「〜するべきだ」という意見を探す必要はありません。ここでは、筆者の考えを問う問題に絞って読み方を見ていきます。
二つの「しかし」がある短文で確かめる
次の本文と設問は、説明のために作成した架空の練習問題です。実際の入試問題からの引用ではありません。①〜④は、この練習で段落を参照するためにつけた番号です。
① 記録を残すなら、写真さえあれば十分だという人がいる。写真は、そのときの様子を細かく残せるからだという。
② たとえば、校外学習で見た川の写真があれば、水の色や岸の形を後から見直せる。しかし、そのときに「どうしてここだけ流れが速いのだろう」と疑問に思ったことまで、写真に写るわけではない。
③ 写真だけでは、自分が何に注目し、何を考えたかが伝わらないことがある。しかし、だからといって、写真を使わず、すべてを文章で記録すればよいわけでもない。形や位置の関係は、写真のほうが確かめやすい場合もある。
④ 記録の方法は、一つに決めるよりも、残したい内容に合わせて選び、必要に応じて組み合わせることが大切だ。写真には言葉を添え、言葉だけでは伝えにくい部分には写真を使う。何を残したいかによって、役立つ方法は変わるのである。
問い:筆者は、記録を残すとき、何を大切にするべきだと考えていますか。文章全体を踏まえて説明してください。
二つの「しかし」は、対比する内容が違う
②の「しかし」の前では、川の写真で水の色や岸の形を見直せることを述べています。後では、その場で抱いた疑問は写真に写らないことを述べています。写真に残せるものと、写真だけでは残せないものを、川の例で対比しているのです。
③の「しかし」は、写真に限界があることを認めたうえで、「それなら写真を使わなければよい」という考えに進まないようにしています。写真で確かめやすいこともある、と説明を加えているのです。
どちらの後にも大切な内容はあります。ただし、そこだけでは、記録を残す際に筆者が何を大切にしているかという、問い全体への答えにはなりません。
具体例と理由をつなぐと、④の主張が見える
①の「写真さえあれば十分だ」は、筆者が紹介している別の人の考えです。②と③を読むと、筆者は写真だけで十分だとは考えていないとわかります。一方で、写真を使うこと自体を否定しているわけでもありません。
②で写真だけでは残しにくい内容を示し、③で写真にも役割があることを説明する。この二つが、④の「残したい内容に合わせて方法を選び、必要に応じて組み合わせる」という判断を支えています。
段落の役割は、たとえば次のように整理できます。
| 段落 |
この短文での役割 |
要点 |
| ① |
別の考えの紹介 |
写真だけで十分だという考え |
| ② |
限界を示す具体例 |
川の写真には、その場の疑問は写らない |
| ③ |
写真の役割も認める説明 |
写真で確かめやすいこともある |
| ④ |
筆者の中心的な主張 |
残したい内容に応じて方法を選び、必要なら組み合わせる |
これは、この自作短文を整理した例です。すべての説明文がこの順序で書かれているわけではありません。主張が初めに置かれたり、途中で繰り返されたりすることもあります。最後の段落だから主張と判断するのではなく、ほかの説明とのつながりを確認します。
記事中の自作短文の整理例です。①〜④は段落番号であり、すべての文章に共通する構成や解答手順ではありません。
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要点を一文にまとめて、本文に戻って確かめる
段落の役割が見えたら、「筆者は、何について、どう考えているか」を短く言ってみます。この問題であれば、たとえば次のように答えられます。
残したい内容に応じて記録の方法を選び、必要なら組み合わせること。
この答えには、「記録の方法」という話題と、「内容に応じて選ぶ」という判断、そして「必要なら組み合わせる」という条件つきの考えが含まれています。唯一の言い方ではありませんが、具体例を含む文章全体につながる説明です。
次のような答えと比べてみましょう。
| 答えの例 |
確かめたい点 |
| 写真さえあれば、十分に記録を残せるということ。 |
①で紹介された他者の考えを、筆者の主張として答えている。 |
| 川の写真には、そのときの疑問は写らないということ。 |
②の具体例の内容には合うが、記録の方法についての主張全体を説明していない。 |
| 写真と文章を、必ず組み合わせて記録すること。 |
「必要に応じて」という条件を落とし、「必ず」に変えている。 |
主張を短くまとめるときも、本文がつけている条件まで落とさないことが大切です。また、「役立つ方法で記録すること」のように短くしすぎると、何に合わせて方法を選ぶのかが伝わりません。
一文にするのは、理解した内容を確かめるための練習です。実際の答案では、設問が主張だけを求めるのか、理由や具体例も含めるのか、字数や抜き出しの指定があるかを確認します。具体例を答える問題なら、当然、具体例が答えの中心になります。
主張を問う自作設問での比較です。具体例を問う設問の答え方や、特定校の採点基準を示したものではありません。
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線を引きすぎるときは、印の目的を絞る
本文のほとんどに線が引かれているなら、まず一問の復習で、何を確かめるための印なのかを絞ってみます。色や記号を一度に増やす必要はありません。
今回の短文なら、②の具体例が何を説明しているかを考える練習にできます。例の細部をすべて囲む代わりに、余白に「写真だけでは残せないもの」と短く書き、③・④と読み比べます。④の内容を言い直せたら、②の川の話がそこへどうつながるかを説明してみます。
ご家庭での記録は、次の程度でも構いません。
最初に答えたこと:川の写真には、そのときの疑問は写らない。
読み足したこと:写真にも役割があるので、残したい内容に合わせて方法を選ぶ。
次に確かめること:この具体例は、どの考えを説明しているか。
口頭では説明できるのに答案にできない場合は、考えを一文につなぐところで困っている可能性があります。例の内容自体がわからないなら、語句や文の意味を確かめる必要があるかもしれません。同じ誤答でも、練習する部分が同じとは限らないのです。
負担が大きければ、一文の書き直しまで求めず、「この例とつながる説明はどこ?」と、本文の一か所を示すところから始めます。塾で印のつけ方を習っている場合は、まずその印の意味を本人に説明してもらい、わからない点を先生に確認するとよいでしょう。
答えを覚えた後は、別の短文で確かめる
同じ問題を解き直して答えられても、その答えを覚えている可能性があります。次に初めて読む短文で、具体例の内容と、筆者が伝えようとする考えの両方を説明できるかも確かめます。
接続語のない箇所でも、「この話を出したのは、何を説明するためだろう」と考えてみます。すぐに答えられなければ、その箇所を残して質問すれば十分です。毎回全文を要約するなど、復習の負担を急に増やす必要はありません。
選択肢の言い換えや範囲の違いで迷う場合は、最後の二択で本文と照合するポイントを解説した記事も参考にしてください。
一文は読めても、段落同士のつながりが追えない場合は
一文ずつの内容を説明できても、段落をまたぐと「何のための話か」がわからなくなることがあります。また、主張の候補は見つかっても、その候補と具体例がどう結びつくかを説明できない場合もあります。
こうしたときは、印を増やすだけでは、どこで理解が途切れたかを確かめにくくなります。問題と本文、最初の答案、解説や添削、書き直しを相談材料にすると、語句の理解、段落の関係、設問への答え方のどこを練習するか考えやすくなります。時間不足の中で答えたのかどうかも、あわせて残しておきます。
東京・代々木の国語専門塾である国語ゼミでは、講師との対話を通じて、答えに至る根拠を言葉にすることを重視しています。指導の考え方は指導メソッドでご紹介しています。学習の進め方に迷う場合は、受講のご相談をご利用ください。
次の復習では、印をつけた「しかし」を一つ選び、その前後の関係を短く説明してみてください。そこから「この具体例は、どの考えにつながるか」まで確かめることが、筆者の主張を読む練習になります。