こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!
「使役は『〜させる』、反語は『どうして〜だろうか、いや〜ない』」。句法の読み方や訳し方は覚えたのに、文章になると誰が何をしたのかわからない。書き下し文は作れても、内容説明や選択肢の問題で迷ってしまうことはありませんか。
その場合、句法をさらに暗記するだけでなく、覚えた形を、その文の人物・動作・発言に当てはめる練習が役立ちます。ただし、語彙や訓読の知識が曖昧な場合もあります。まず一文を取り出し、どこまで説明できるかを確かめましょう。
ここでは、使役と反語の短い例から、書き下しを意味の理解につなぐ確認法を紹介します。
「読めない」のは、どこで止まっているからか
間違えた問題の一文を、解説を読む前に自分の言葉で説明してみてください。「だいたいわかる」で止めず、説明できなくなった箇所を残します。
| 確かめること | 見直す場所の例 |
|---|---|
| 読む順番や句法の読みがわからない | 返り点・送り仮名・句法の形 |
| 書き下しを見ても語の意味がわからない | 注釈・漢和辞典・重要語の意味 |
| 語の意味はわかるが、人物関係が曖昧 | 誰が、誰に、何をする文なのか |
| 一文ずつはわかるが、話の筋がつかめない | 発言者、指示語、前後の理由・結果・評価 |
これは原因を一つに決める分類ではありません。知らない語があるために人物関係を取り違えるなど、複数が重なることもあります。わからない語を残したまま、話として自然そうな内容を補わないことも大切です。
使役は「させる人」と「動く人」を分ける
以下は、漢文の書き下し文の形式で作った練習用の例です。実際の古典作品や入試問題からの引用ではありません。意味の確認に集中するため、書き下し文で示します。
自作例①:王、臣をして民を救はしむ。
ここで「臣(しん)」は君主に仕える者、「民」は人民を指します。
「〜をして」は、役割を確かめる手がかり
「臣をして〜しむ」は、「臣に〜させる」という使役の形です。「救はしむ」を「救わせる」と読んだら、誰が誰に救わせるのかまで確かめます。
| 役割 | この文では |
|---|---|
| させる人 | 王 |
| 救う人 | 臣 |
| 救う対象 | 民 |
したがって、意味は「王が臣に民を救わせる」です。「王」が文全体の主語でも、「救う」という動作をする人まで王になるわけではありません。
句法名が合っていても、内容は確かめる
たとえば、「王が臣と民を救う」と説明すると、「臣」を救う対象にしてしまっています。元の文では、臣は救う側です。
「これは使役」と答えられた後に、この違いを説明できるかが確認点になります。受身を読むときも、動作を受ける側と行う側を分けて確かめましょう。
また、この一文だけでは、何を配って救うのか、救済が成功したのかまではわかりません。文の構造から言えることと、本文にない想像を分けておきます。

反語は、結局何を述べているかまで読む
続いて、次の文があるとします。これも同じ練習のために作った例です。
自作例②:臣曰はく、「豈に民を棄つべけんや」と。
「曰はく」は「言うことには」、「豈に」は「あに」、「棄つ」はここでは「見捨てる」の意味です。
この例の「豈に〜べけんや」は反語として読みます。発言の中身は「どうして民を見捨ててよいだろうか。いや、見捨ててはいけない」です。「民を見捨ててもよいか」と答えを尋ねているだけではなく、見捨てることを否定しています。
反語だと気づいたら、「どうして〜だろうか」で訳を止めず、結局、何を認め、何を否定しているのかを説明しましょう。この例では「民を見捨ててはいけない」という考えです。
実際の問題で疑問と反語に迷うときは、訓点・送り仮名と前後の文脈を照らし合わせます。また、否定を含む表現との組合せによって結論は変わるため、「反語なら最後に何でも『ない』を付ける」という処理にはしないでください。
登場人物の言葉と、筆者の主張を分ける
自作例②で、「民を見捨ててはいけない」と述べているのは誰でしょうか。「曰はく」の前にある「臣」が発言者です。使役の文に出てきた王の発言と取り違えないようにします。
ここからは、「臣は民を見捨てることを否定している」と説明できます。一方、引用された発言を、そのまま文章を書いた人の主張と決めることはできません。実際の文章では、後にその発言への批判が続く場合もあるからです。
文章全体の主張を問われたら、発言の前後にある行動、相手の反応、筆者による評価まで確認します。主語が省略されている場合も、直前の人物を機械的に当てはめず、動作や会話のつながりから確かめます。
二つの自作例をまとめるなら、「王が臣に民を救わせ、臣は民を見捨ててはいけないと述べる」と整理できます。この二文だけから、救済の方法や筆者の政治思想まで広げる必要はありません。

復習は、一文の説明を書き直すところから
自習では、長い文章をすべて訳し直す前に、間違えた設問に関係する一文を選んでみましょう。ノートに次の三つを残すと、読み違いを見直せます。
- 最初の説明:自分はその一文をどう理解したか。
- 判断の根拠:句法、人物を表す語、発言を示す語など、本文のどこを見たか。
- 書き直した説明:誰が何をするか、何を述べているかを一文でまとめる。
自作例①なら、「王が臣と民を救う」から、「『臣をして〜しむ』は臣にさせる形」と確認し、「王が臣に民を救わせる」へ直します。正しい訳を写すだけでなく、臣の役割をどう読み違えていたかを言葉にしましょう。
その後、設問に戻ります。問われているのが「臣の考え」なら、王が救わせたという出来事だけでは答えになりません。設問が求める人物や内容と、書き直した説明が合っているかも確かめます。
一度に負担が大きければ、今日は「救う人は誰か」の確認だけでも構いません。解説を読んでも根拠がわからない箇所には印を付け、質問として残してください。
別の日には、解説のある未見の短い問題で、同じ確かめ方を試します。同じ例の正答を覚えていることと、初めて読む文でも役割や発言者を判断できることを分けて確認しましょう。
迷った過程を残すと、相談したい点が見える
自分の説明と解説が違っていても、語彙・句法・人物関係のどこからずれたのかわからないことがあります。相談するときは、問題文、最初の答案、説明を書き直したメモ、解説をそろえておくと、確認したい箇所を伝えやすくなります。
東京・代々木の国語専門塾・国語ゼミの大学受験部では、1対1の完全個別指導で、漢文の構文把握や基本句法・重要語彙を扱っています。「句法は覚えた」と伝えるだけでなく、意味を説明できなかった一文も用意してみてください。
まずは手元の一問から、登場人物の動作や発言を含む一文を選びましょう。「誰が、何をする」「誰が、何を述べる」を、本文の語を根拠にして説明するところから始めてください。
古文でも、覚えた文法を本文に当てはめる段階で迷う方へ:古文の助動詞、活用表は言えるのに識別できない。「接続・形・文脈」をつなぐ練習法もご覧ください。
