こんにちは。国語専門塾 国語ゼミの編集部です!
語彙の教材を繰り返し、言葉の意味を答える問題では正解できる。それなのに、読解問題で同じ言葉が出てくると、文の内容を取り違えてしまう。小学4年生のお子さんの勉強を見ていて、こんな戸惑いを感じることはないでしょうか。
覚えた意味を言えることと、今読んでいる文でその意味を使えることは、分けて確かめられます。たとえば、一つの言葉に複数の意味があるとき、覚えた意味をそのまま当てはめるだけでは、文の内容に合わないことがあります。
だからといって、暗記した勉強が無駄になるわけではありません。知っている意味を土台にして、「この文では、どんなことを表しているか」まで確かめる練習を加えてみましょう。
この記事では、中学受験を考えている小学4年生の保護者の方に向けて、手元の教材の一語から、語彙の知識を読解につなげる方法を紹介します。言葉の知識だけでは説明できないつまずきについても、短い文で確認します。
「読める」「意味が言える」「文の中でわかる」は別の確認
お子さんが「この言葉は知っている」と言ったら、何ができているのかを少し具体的に見てみます。
| 確かめること | 確かめ方の例 |
|---|---|
| 読み方がわかる | その言葉を声に出して読む。 |
| 意味を知っている | 教材に出てきた意味を、短い言葉で説明する。 |
| 文の中で意味を捉えられる | 前後を読み、この文では何を表しているか説明する。 |
これは、子どもを三つの段階に分けて評価する表ではありません。同じ子でも、言葉や文章によってできることは変わります。読み方は少したどたどしくても意味を理解していたり、意味を説明する言葉が出なくても適切な場面を選べたりすることがあります。
確認したいのは、「語彙力がない」という大きな評価ではなく、今の一語で何に困っているかです。読み方を忘れていたなら読みを確かめ、意味を知らなかったなら辞書や教材に戻ります。意味は知っていても文に合わないなら、その言葉の周りを読み直します。
同じ「見通し」を、二つの文で比べる
以下の例文・問い・説明例は、この記事のために作った練習用のものです。実際の入試問題や、実在する生徒の答案ではありません。
まず、次の二つを比べてみます。
例文A 林を抜けると、見通しのよい広場に出た。遠くの山まで見えた。
例文B 工作に使う材料がそろい、明日までに完成させる見通しが立った。
AもBも「見通し」という同じ言葉を使っています。しかし、Aは実際に遠くまで見えること、Bはこれからどうなるかの予想を表しています。
「見通しは、遠くまで見えること」とだけ覚えていると、Bも目で何かを見る話として読んでしまうかもしれません。逆に「これからの予想」とだけ覚えていると、Aの広場の様子を捉えにくくなります。
言葉の周りにある手がかりを拾う
お子さんには、意味を選んだ理由も聞いてみてください。
Aには「林を抜ける」「広場」「遠くの山まで見えた」という言葉があります。実際の場所で、何が見えるかを説明しています。
Bには「材料がそろい」「明日までに」「完成させる」という言葉があります。工作を終えられそうかという、この先の話です。今の状況をもとに、これからの結果を考えています。
図に整理するなら、Aは「遠くまで見えること」、Bは「これからどうなるかの予想」です。前後の言葉を手がかりにすると、この文で使われている意味を確かめられます。
ただし、「明日」があれば必ずこの意味になる、という合図の暗記にはしません。実際の文章では前の段落の内容が必要な場合もあります。まず一文とその前後を読み、説明がつながるか確かめます。

画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。
辞書の最初の意味で決めない
一つの言葉に複数の説明が載っているときは、最初の意味を書き写して終わりにせず、読んでいる文に合う説明を探します。辞書の用例も、意味を選ぶ手がかりになります。
「見通し」には、遠くまで見えることや、今後の成り行きを予測することなど、複数の意味があります。今回の二例はその一部です。語義は小学館『デジタル大辞泉』の「見通し」(コトバンク掲載)でも確認できます。
文脈を考えることは、好きな意味を想像してよいということではありません。周りの文から候補を考えたうえで、辞書や教材の説明と照らし合わせます。知らない意味を前後だけで決められないときは、調べて構いません。
辞書の説明に難しい言葉が多ければ、その説明自体を確かめる必要があります。お子さんが使っている辞書の短い用例を一つ読み、どんな場面かを一緒に考えるところから始めてみてください。
家庭では、一語を三段階で確かめる
新しい問題集を増やす前に、今使っている語彙教材や読解問題から、一語と、その語を含む短い例文を選びます。読み方と基本の意味を確認したら、「例文の説明」「言い換え」「別の文章での確認」へ進みます。
毎回すべてを同じ日に行う必要はありません。途中で言葉の意味があいまいになったら、辞書へ戻ってよい練習です。
① 例文の場面を説明する
例文Bなら、「何を作っている話?」「材料がそろって、どんなことがわかってきた?」と聞きます。
確認したいのは、工作の材料がそろい、明日までに完成できそうだと考えられるようになった場面を捉えているかです。辞書の説明と同じ言葉で答える必要はありません。
「完成した」と答えた場合は、「明日までに完成させる」という表現を一緒に読み直します。ここで書かれているのは、すでに完成した結果ではなく、これから完成させられそうだという予想です。
② 文全体をやさしく言い換える
次に、「見通しが立った」をやさしい言葉にして、文全体を説明してもらいます。
材料がそろったので、工作を明日までに完成させられそうだと考えられるようになった。
このように、工作の話としてつながれば、使われている意味を確かめられます。「未来を予想すること」と語だけを説明するよりも、何を予想しているのかがはっきりします。
言い換える際は、意味を強くしすぎないことも大切です。「工作はもう完成した」「明日までに必ず完成することが決まった」では、元の文が表す予想とずれてしまいます。
これは内容を確かめるための説明例であり、唯一の正解ではありません。入試問題で字数や抜き出しの指定がある場合は、その条件に合わせて答える必要があります。
③ 別の文章で意味を選び直す
例文Bの説明を覚えたら、別の文でも意味を選べるかを確かめます。次の練習は、先に説明例を見せずに取り組んでください。
例文C 雨で試合が中断した。雨はやまず、再開の見通しが立たない。
「再開」は、中断したことをまた始めることです。この語がわからなければ、先に説明して構いません。そのうえで、「見通しが立たないとは、今、どんな状態だということ?」と聞きます。
ここでは、試合を再開できそうか、まだ予想がつかない状態だと説明できます。「試合は絶対に再開できないと決まった」とまでは書かれていません。Bとの違いは、予想がつく場合と、つかない場合であることも確かめます。
同じ問題で言えたことと、別の文で意味を捉えられたことは、記録を分けると見直しやすくなります。次に教材の別の文章で出会ったときも、その場面に合う意味を考えてみましょう。一つの言葉でできたことが、すべての言葉にすぐ広がるとは限りません。

画像をタップすると拡大できます(新しいタブで開きます)。
「わかる?」だけで終わらせない聞き方
保護者が「意味はわかる?」と聞くと、「わかる」という返事だけで確認を終えやすくなります。文の中で何を理解したかを確かめるには、質問を少し具体的にしてみます。
たとえば、例文Bでは「もう完成した話? これから完成できそうだという話?」と、二つの場面を比べてもらえます。選んだ後に「どの言葉を見て、そう考えた?」と尋ねると、何を手がかりにしたかもわかります。
ただし、二択なら偶然当たることもあります。また、説明が止まる理由が、意味を理解していないこととは限りません。理解したことを言葉にまとめるのが難しい場合もあるため、すぐに「覚えていない」と決めつけず、本文の箇所を指してもらう方法も使えます。
長いノートを作る必要はありません。たとえば、次の短いメモで十分です。
言葉:見通しが立った
この文での意味:明日までに工作を完成させられそうだ。
手がかり:材料がそろい/明日までに完成させる
難しければ、その日の学習は例文を一緒に読み直すところまでにします。保護者が毎回すべての語義を説明したり、自作のテストを用意したりする必要はありません。教材の解説でも判断しにくい箇所は、その文を残して先生に聞きましょう。
言葉を知っていても読めないときは、一文の組み立てへ
言葉の意味がわかっていても、誰が何をしたかを取り違えると、文全体の理解が変わります。次の短い自作文で考えてみます。
妹が選んだ本を、兄が机に置いた。
「妹」「選ぶ」「本」「兄」「置く」を知っていても、「本を置いたのは妹」と読んでしまうなら、語の意味を覚え直すだけでは確かめきれません。
この文は、「妹が選んだ」がどんな本かを説明し、その本を机に置いたのは兄です。「選んだのは誰?」「置いたのは誰?」と動作ごとに確かめると、文のつながりを捉えやすくなります。
実際の教材でも、一文を区切って、何を説明する部分かを確認してみます。最初から難しい文法用語をすべて使う必要はありません。意味を調べる練習と、主語・述語や言葉のかかり方を確かめる練習を、つまずいた文に合わせて行います。
一文は理解できても、段落同士の関係や筆者の考えがつかみにくい場合は、確認する範囲がさらに広がります。その場合は、説明文の主張と具体例を分ける読み方も参考にしてください。
覚える量を増やす前に、迷った一文を残す
意味の暗記ができるのに読解で困るときは、まず一問で、読み方、語義の選び方、一文の組み立てのどこを確かめたいか整理してみます。複数が重なることもあり、一度の誤答だけで原因を決める必要はありません。
相談するときは、教材名だけでなく、迷った文、本人が最初に考えた意味、読み直した後の説明を残しておくと役立ちます。答えを見た後か、時間に追われて読んだときかも添えると、次に何を確かめるか考える材料になります。
国語ゼミの小4の指導では、語彙・文法の学習を読解と並行して扱っています。また、答えを出すだけでなく、根拠を言葉にする対話を重視しています。詳しい考え方は指導メソッドをご覧ください。
次の語彙学習では、覚えた一語について「この文では、どんな意味?」と確かめてみてください。例文を説明し、言い換え、別の文章で選び直す。その小さな練習から、覚えた言葉を読む場面で使っていきましょう。
